オピニオン:長期的な災害対策に向けた研究開発の取り組みについて(4)

中村仁彦・アンカーマン

(4)民間の研究機関の設立

NASAの木星・土星探査機パイオニア、ボイジャー、火星探査機スピリッツ・オポチュニティ、土星探査機カッシーニ・ホイヘンスなどの研究開発と運営を行ってきているのはアメリカ合衆国が管轄し、カリフォルニア工科大学が運営する1943年に設立されたジェット推進研究所 (JPL)である。同大学のグッゲンハイム航空研究所のロケットプロジェクトが前身であり、アメリカ陸軍のロケットプロジェクトに関わった。

ロスアラモス国立研究所は1943年にマンハッタン計画に関わって設立され、現在ではナノテクノロジー、情報通信等を含む幅広い先端科学技術の研究所となっている。アメリカ合衆国エネルギー省の委託で、2005年まではカリフォルニア大学が、2006年からは同大学の他に複数の大学や民間会社も加わったLANS (Los Alamos National Security)という組織が運営を行っている。

リンカーン研究所は1951年にアメリカ合衆国国防総省によって設立されたマサチューセッツ工科大学 (MIT)の研究所である。空軍から打診が会った際に当時のMIT学長James KillianははじめにMITが研究分野を決定することを条件として、Project Charlesとしてスタートさせた。米国本土と北極圏のレーダ網の開発等を行った。現在では、小惑星の探索からホームランド・セキュリティまで広く研究を行っている。

ランド研究所は軍事戦略研究から民生公共政策・経済予測まで行うシンクタンクである。アメリカ空軍と、ダグラス・エアクラフト社が1946年に設立し、人工衛星の基礎研究を行っていた。」1948年に独立してNPOとなり、アメリカ合衆国政府の予算と民間の寄附で運営されている。人工知能、情報処理でも成果を上げてきた。

これらのように米国における軍事研究にかかわる研究機関の取り組み方には、合衆国が所有し大学が運営を行う形態や、合衆国と民間が共同で設立した研究所がNPOとして独立した形のものがある。

わが国においては「防衛」と研究機関の関係は、対災害システムの研究開発に限るとしても厳しい心の障壁があると言わざるを得ない。一つの考えは、民間のあるいはNPOの独立研究機関、例えば「対災害システム高等研究所」、として設立することではないだろうか。国が対災害システムの研究開発を目的に当初の設立を行い、民間かNPOに運営を委託する。運営費は国からの予算の他に、災害対策を立法化によって電力会社や大規模な化学プラント会社に義務づけ、その経費の一部をこの研究機関の運営に充てさせる。大学や国立研究所の研究者はこの機関との契約、あるいは兼業によって研究を実施する。防災対策のための研究開発に関しては事業者の他に自衛隊や消防との連携を密に行い、実施のために訓練も行うようにすべきである。「対災害システム高等研究所」は最先端の科学技術を応用した研究開発を行い、同時にこれに関わる人材を養成するために大学に隣接して設置することができるのが望ましい。



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