タスクフォースが中長期的に果たす役割(5)

中村仁彦・アンカーマン

災害とロボット技術の将来

原子力災害の対策に関連する国家プロジェクトが、これまでに二度立てられた一度目は米国のスリーマイル島の事故の4年後に始まった。プロジェクトの期間中にチェルノブイリ原子力発電所の事故が起きた。二度目は東海村の臨界事故の翌年である。また、1995年1月の神戸の震災を経験した後に、大規模災害の後の救助を目的にした「大都市大災害軽減化特別プロジェクト」(2002-2006年)が立てられた。しかしこれらのロボットが米国の軍事ロボットのように市場を形成することはなかった。フランスのように政策的にこれらを企業や公的機関が運用する仕組みが作られたわけでもない。この状況の詳細は、対災害ロボティクス・タスクフォースの公式ブログの記事「原子力防災ロボット1980-2000 (1)」を参照されたい。

わが国のロボット技術の特徴の一つはヒューマノイドロボットなどの長期的な研究課題とされるもの、科学的な関心から取り組む研究に多くの研究者・技術者が関わってきていることにある。世界的にもこの分野のわが国の研究に対する評価は高く、全ての研究ではないとしても多くの成果を誇ることができる。しかし、長期的研究テーマであるという意識が市場化までの猶予時間を感じさせもたせ、社会への技術移転が進まないことに無関心になっていたと言う指摘もできる。

このような状況の中で、東日本大震災と福島原子力災害が起こった。ロボット技術の役割がこれほど期待されたことはない。NPO国際レスキューシステム研究機構の出動待機などの状態の中で、米国の軍事ロボットが提供されてきた。これを単にわが国のロボットと米国のロボットの問題としてナショナリズムをからめて矮小化してはならない。ロボット技術は必要とされ、社会の期待以上ではないかも知れないが、技術者が考えた通りの役割を果たしつつある。しかし、客観的にみて、わが国の研究者・技術者はロボット技術を社会に活用させる努力を怠っていたと認めざるを得ない。単に技術の問題ではなく、そのような技術を吸収する弾力性のある社会を積極的に作ることにおいてである。

震災復興というわが国の歴史上の大きな目標にむけて、ロボット技術に限らず科学技術の突破力を引き出すことのできる社会のシステムを作るべきである。



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