なぜ,すぐにロボットを現場に導入できないか

ロボットを原子力災害現場に投入するために検討すべきこと

東京大学教授 淺間 一

現在,原子力プラント災害に国内外のロボット技術の活用する検討が継続的に進められており,建設機械の無人化施工などの形で一部は実現されている.

早急な導入による作業者の被爆の低減が望まれているものの,拙速で不用意な導入は大きな危険とリスクを伴うことになる.導入したものの目的地まで到達できない/作業が達成できない,故障して動作不能に陥る,人が行っている他の作業を妨害する,他のシステムを破壊する,などがその例である.現場への導入においては,以下の点などを考慮しながら,慎重に検討を進めながら導入を決定する必要がある.

  1. ロボットにどのようなタスクを行わせるかを決定する必要がある.移動しながら,情報を収集したり,作業を行うようなことが考えられるが,ロボットによって機能が異なるために,タスクと機能のマッチングが必要である.場合によっては,ロボットの補強・改造などが必要になる.
  2. ロボットが動作する環境を知る必要がある.空間の広さ,照明条件など,環境条件は,ロボットの動作とっての制約となる.現場環境では,瓦礫など,様々な障害物も存在しており,それらの情報を正確に把握し,ロボットがその環境で動作できるかを検証する必要がある.
  3. 特に,放射線量が問題となる.ロボットを安易に導入すれば,放射線の影響で故障し,単なる障害物となって,様々な作業を妨害する可能性がある.動作環境の放射線量を把握しながら,導入させる必要がある.また,どの程度の被爆によって機能不全に陥るかを予め評価し,それを超えないような使用方法を取る必要がある.線量率の低い領域からのアクセス,作業時間の短縮なども重要な要件となる.
  4. リソースが競合しないようにする必要がある.リソースを空間と捕らえれば,同じ空間を同時に複数のロボットなどが使用することはできない.またリソースを周波数と捕らえれば,無線で動作させる場合,周波数が他の目的で使用しているシステムと干渉していないか,確認する必要がある.リソースが干渉している場合,使用する時間を計画的に割り振る必要がある.
  5. ロボットを導入するための環境を整備する必要がある.遠隔操作の場合,操作室を安全な場所に設置しなければならない.電源や通信(有線の場合),そのケーブルの引き回しをどうするかも決める必要がある.バッテリー駆動の際には,その充電方法を決める必要があるし,また,大量の被爆を避けるため,ロボットの退避や除染の場所を設けることが必要となる.
  6. ロボット開発者が,現場で操作することは困難であるので,実際の作業員がロボットを遠隔操作できるように訓練することが必要となる.模擬環境で訓練し,十分に使い慣れた上で導入する必要がある.
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